2008年08月19日

クレーマー

ちょっと興味を惹かれてとなりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)という本を読んだ。

モンスターペアレンツやモンスターペイシャンツなど最近いろいろと耳にするが、この本では長年クレーム処理に携わっている著者が自らの体験を元にクレーム対応についてかたってくれている。
中にいくつかの例が取り上げられていた。
デパートでは10年着たブラウスが洗濯したら穴が空いたから交換しろという人。
学校では子供がガラスを割ったのはそこに石があったからだと文句を言ってきた親。
なかなかどうして世の中には滅茶苦茶なクレームをつけてくる人はいるものである。

サービサーもどちらかと言えばトラブル・クレーム産業だ。
話し合いが決裂すればすぐさまその手の問題となりうる。
それはある程度はやむを得ない。
ただ、あんまり無茶苦茶な要求はない。
お互い利害関係があるから「暇つぶし・愉快犯」的なものはない。
何とか自分に有利な条件を引き出そうとしてそうなるケースが多い。

A氏もそんな一人であった。
最初の面談の冒頭から、債権を売った(つまり最初に借入をした)銀行の悪口をまくし立てる。
いかに無理やり借りさせられたかを延々と話し続けるのである。
こちらは債権を買った立場なので関係ないと繰り返しても、買った以上は同類だとくる。
何回か面談し、聞くだけ聞いた後、「では話し合いはできないという理解でよろしいですね」と席を立とうとしたらようやく「そうは言っていない」となった。

喧嘩するよりもある程度払って債務免除を受けた方が有利なのはA氏もわかりきっていたし、競売になると困るだろうと踏んでいたから交渉決裂にはならないだろうと予想はしていた。
結局は自分の有利に進めたかったのだろう。

一方的にクレームだけ申し立てるような方はこれまであまりお目にかかっていない。
とはいえ真摯に受け止めて対応すべき主張もあるからそれはそれで重要ではある。
でもやっぱりそういう方は担当したくないとつくづく思う・・・


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2008年08月17日

価値

ここのところ不動産市況が低迷している。
売ろうと思ってもなかなか良い値段で売れなくなった。
買い手が買うのを控えれば当然値段は下がる。
やむを得ないことではある。

担当先のA氏も自宅を売りに出しているが、なかなか値段がつかない。
「A氏が望む値段」という意味だ。
銀行も業績が悪化しているからだろう、不動産担保の融資に慎重になっている。
融資が十分おりないから金額も出ないという事でもある。
借りられない人はやっかみで「貸し渋りだ」と騒ぐが、金融機関としては当然の判断だろう。

A氏の自宅はさらに悪い事に容積率をオーバーしている。
つまり建築基準法で認められている以上の広さの建物であるという事だ。
銀行としては「違法物件に融資するのか」とやられると立場がない。
したがって容積率オーバーともなると融資も難しくなる。
当然買い手も限られてくるわけで、値段も上値が重くなる。

しかし、A氏としては思い入れのある自宅である。
建築基準法に違反しているといったって近所迷惑になっているわけでもなし、おかしなのは法律であって自分の家ではないという考えだ。
まあ気持ちはよくわかる。
「でも買う立場だったら叩くでしょ?」と喉まで出かかった言葉を飲み込む。

もちろん、我々だって高く売れた方が良いに決まっている。
それだけ回収額も増えるからだ。
その点ではA氏と利害は完全に一致している。
しかし、我々はやっぱり冷静に判断する。
売れる値段を見極めそれ以上で売れないのならドライに割り切る事ができる。
「思い入れ」にはなかなか値段はつけられない。

A氏とは本人が納得するまでもう少し付き合う事になるだろう。
納得するか諦めるかは微妙であるが、辛抱もまた我々の仕事である。


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2008年08月16日

分かれ目

同僚Nに声を掛けられた。
「この人知ってる?」
それは一昔前にベストセラーになった本を書いた人物A氏だ。
本業は士業であるが、同人に法人の代表者としても大きな規模の施設を運営していた。
「ああよく知っているよ」とNに応えた。
Nが「これ」と見せてくれたのはA氏の破産通知書であった。
「ああだめだったんだ」という思いが胸に去来した・・・

実は2年ほど前の事だ。
再生ファンドの担当者から「買い取り案件があるが意見を聞きたい」と呼ばれた事があった。
某銀行からバルク(債権のまとめ売り)の入札に呼ばれて資料をもらってきていた再生ファンドの担当者が、その値付けで悩んでいたのだ。

目玉案件はその銀行がメインバンクである大型案件。
それだけで力が入る。
担保はそれほどの価値はない。
しかし、保証人がベストセラー作家でもあり、士業であるゆえ腕一本で食べていけるのが魅力だった。
要するに保証人としてはしっかりしており、それをどこまで価格に反映させられるかがポイントだった。

担保価値だけでは当然競争入札では勝てないと予想された。
保証人の返済能力をどこまで見るか、協議を重ねかなり大胆な価格を提示した。
けれども結果は落札。
当時はけっこうがっかりした。

破産という事はその債権を高い値付けをして買ったどこかのサービサーも損害を出したはずだ。
破産されては担保価値以上の回収はできない。
破産に至る経緯はよくわからないが、無理な値付けをしたがゆえに保証人への要求もきつくなり、A氏も世間体も諦めて破産を選んだのかもしれない。

想像でしかないが、そうであれば買い取ったところもA氏も不幸である。
歴史に「もしも」はないが、あの時我々が買い取っていたらどうなっていただろう?
想像では好きな事が言えるがうまく再生できたのではないかと思いたい。
価格も回収できるぎりぎりの線を出したつもりだ。
それ以上の値付けをしたからこその失敗だ。

買わなくて良かったと胸を撫で下ろしている関係者がほとんどであるが、自分としてはやっぱり「買えなくて残念だった」と思う・・・



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2008年08月14日

弁は算術

最近電車の中でよく弁護士事務所の広告を見かける。
お気づきの方もいるかもしれませんが、このブログの右上にもそれらしきものがあります。
また先日は深夜テレビで弁護士事務所のコマーシャルをやっていた。
結構いたるところで弁護士事務所の宣伝を見かける。

以前もこのブログで取り上げたが、弁護士といえども安泰な仕事ではない。
苦労に苦労を重ねて司法試験に通っても、それだけで「先生、先生」と呼ばれて左団扇な生活を送れる時代は過ぎ去った。
弁護士も商売である。
広告やコマーシャルでお客さんを集めないといけないのだろう。

ただ、医者にも内科、外科いろいろあるように弁護士にも専門分野がある。
気をつけて見てみると上記の弁護士事務所が前面に出しているのは「自己破産、債務整理」などの不良債権関連だ。
それだけ儲かるのだろう。

実際当社の顧問弁護士先生に聞いてみた。
過払い金などは取り戻した金額の24%、債務免除があればその金額の○%、それが複数社あれば1社あたり2万円×社数だけの収入があるらしい。
ばかにはできないのだ。

弁護士であれば大きな裁判で勝利してがっぽりと報酬をせしめるのが美しいのであろうが、みんながみんなそういうわけにもいかない。
需要があるところを狙うのは当然なのだろう。
この分野では司法書士も参入しているし、競争は激しいと思う。

そういえば深夜番組のコマーシャルも的を得ている。
多重債務者がゴールデンタイムにテレビを見ている割合は少ないとにらんでのことなのだとしたら、マーケティングもやっているわけだ。
(もちろんそんな高い広告費が出せるほどは儲からないという事情もあるかもしれない)

そう考えてみると、もしも弁護士さんにご相談中の方がいたらよくよく考えてみた方がいいかもしれない。
頭からすべて信じるのは危険かもしれないからだ。
「あなたのために最善の方法です」と言いつつも、裏で電卓を叩いているかもしれないからだ。

セカンドオピニオンは医療の世界では浸透してきている。
しかし、弁護士業務についてもそのうち必要になるかもしれない。
やっぱり例えわからなくても、わからないなりにも工夫して自分でも頭を使って考えてみるという事は必要ではないだろうか。
面倒くさい、わからないなどという態度では、結局知らず知らずのうちに損をしているかもしれない時代になってきているといえるだろう・・・


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2008年08月11日

カンブリア宮殿

普段あまりテレビは見ないのであるが、必ず見ている番組が2つある。
いずれもテレビ東京の「カンブリア宮殿」と「ガイアの夜明け」だ。

二つとも「日経スペシャル」と冠がついている通りビジネス番組だ。
毎回いろいろな企業家や企業を取り上げているので興味深く見ている。
いつの間にかつられて見ていた家族も好んで見るようになった。
ビジネス番組と言っても家族で十分楽しめる番組と言える。

8/4放送(8/9にケーブルテレビの再放送で見たのだが)はキョウデングループの橋本浩会長が取り上げられていた。
キョウデングループはもともとはパソコンや携帯電話などのプリント基板製造メーカーなのであるが、パソコンメーカー「ソーテック」、99円均一コンビニ「SHOP99」、スーパー「長崎屋」などを再生してきた会社である。
橋本会長はかなり異端な発想と行動で業種を問わず不振企業を買収しては再生させている。
勉強嫌いで落ちこぼれだったというが、それゆえに普通の道を歩まず道なき道を進んできたようだ。

そんな彼が番組の中で「経営に業種は関係ないが、数字は大事だ。数字だけは勉強してきた。財務三表がわからないようでは経営者とは言えない」と語っていた。

ちょっと驚いた。
金融関係者や「普通の」一流企業の経営者が言うのであれば何の不思議もない。
だが、このような異端ともいうべき破天荒な経営者が(何せCDを出してロックシンガーとしてデビューしているくらいなのだ)ここだけごくごくまっとうな事を言っていたからだ。

これだけの経営者がこれだけまともな事を言っているのに、「数字は苦手だ」と公言して憚らない経営者が我が担当先には多い。
「だから」多いとも言えるが・・・

わからないからと言って税理士や奥さんに任せっぱなしというスタンスではやっぱりだめなのである。
ビデオに録って配ろうかと思ったくらいだ。

日頃テレビとは縁遠いのであるが、この二つの番組だけは欠かさず見ているし、これからも見ていきたいと思っている・・・



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2008年08月10日

不動産屋と債権回収担当者3


最後の任売で大きな壁にあたったA氏の案件。
価格はともかくとして、経費としての税金が重くのしかかる。
資金を用意できないA氏にとって、そのまま売却すればあとで国から税金の督促を受ける事になる。

そこで仲介業者B氏が当社との交渉をかって出てきたのである。
何せこの任売が成立すればB氏も大きな手数料収入を手にできる。
B氏は足りない分を再生ファンドへの返済資金をまけてもらうことで凌ごうと考えた。
しかしこちらもそうはいかない。
当初にきちんと返済額を約束している。
それを織り込んだ返済計画を立てたのだ。
最後の売却で、A氏は残債の支払いを免除され長年苦しんだ借金から開放される。
こちらも欲張っているわけではないから譲れないのだ。

だが、粘るB氏。
しきりにA氏のためにと力説する。
そこで私も一計を案じた。

「わかりました。では私もAさんのためにもう一度再生ファンドに掛け合いましょう。Bさんの熱意もお伝えしましょう。しかしこの任売を成立させるにあたっては是非ともBさんにも協力してもらわないといけません。」と回答した。

ほっと安堵するB氏。
「ええ、もうなんでもおっしゃって下さい」と喜色満面の笑みを浮かべて答える。
「では、あなたが受け取る不動産仲介手数料3%を1%に減らして下さい。その分こちらも返済額が減る分が少なくなります。お互い利益を削りあって協力しあいましょう」と逆提案した。

B氏の顔から笑みが消える。
「いや、それはちょっと・・・」と口ごもる。
「うちもいろいろあるので、それだと何のためにやっているのかわからなくなります。」とトーンダウン。
「何のためって、Aさんのためっておっしゃっていたじゃないですか。こちらも採算割れするんですからあなたにも協力していただかないと・・・。自分の分はしっかり取るだけ取っておいて人にだけ削れって言うんですか?」と畳み掛ける。

しばらくぶつぶつと言ったあと、「Aさんと相談してみます」とB氏は帰っていった。
B氏には気の毒だが、別にあせる事でもない。
A氏との出口はあと少しだ。
B氏が儲けたければもうちょっと頑張ってもらわないといけないのだ・・・



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2008年08月07日

不動産屋と債権回収担当者2

A氏の案件の最終出口。
不動産の任売にあたり仲介業者のB氏が訪ねてきた。
昨今の不動産市況から価格が当初の予想を下回る事は予想できた。
頭の中で想定問答のシュミレーションをこなした上でB氏を向かえた。

B氏から買付証明書の提示を受ける。
価格は思ったほど悪くはなかった。
しかし、経費がけっこうかかっていた。
特に大きいのは税金だ。
B氏の不動産は先代から相続したもので簿価が低い。
したがって売却益に多額の税金がかかるのだ。

B氏は経費の説明を一つ一つしたあと、おもむろに切り出した。
「こういうわけで、当初予定していた○○様(再生ファンド)への返済額が確保できなくなりそうです。
なんとかこの分免軽減していただけませんでしょうか?」と・・・
(そら来た)と表面はクールを装いながらも頭の中で想定問答集をめくる。

「それは難しいですね。
こちらもその金額で計画していましたので、この分削るとなると採算割れになってしまいます。」と私。
「そこをなんとか」と粘るB氏。
「自分はなんとしてもA氏の再生を助けたい。
そのために色々と尽力してきたが、税金だけはどうにもならない。」
なんとか再生ファンドに力を貸してもらいたいと力説する。

「わかりました」と私は答えた・・・



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2008年08月05日

不動産屋と債権回収担当者1


A氏との約束もそろそろ終わりの時期。
約束した期限が間もなく到来し、約束通り不動産を売却して残債は免除。
晴れてA氏は重い借入金から開放される事になっている。

最後の不動産の任売に向けて不動産屋とともに任売活動中のA氏。
しかし、当初約束した時と少々不動産市況が変わってきている。
すなわち相場が悪くなっているのである。
当初想定していた価格では、どうやら売れそうもない情勢となってきた。

先日A氏より是非とも不動産屋と話をしてほしいと申し出があった。
経験上、こういう時はろくな話ではない。
「では一緒に同席して」と水を向けると、「いや、まずは不動産屋から話を聞いてもらいたい」とA氏は言う。
やむなくその不動産屋と話をする事になった。

一応、それにあたって必要な場合は借入の内容も話しますよとA氏に同意をもらった。
何せ個人情報保護がうるさい時代である。
場合によってはこちらの事情も説明しないといけないかもしれないのに、話せないのではやりにくいことも考えられる。

そうして不動産屋のB氏がやって来た。
愛想のよい営業マンだ。
軽やかな口調でこれまでのA氏との付き合いの経緯などを語るB氏。
そしてこの何ヶ月かいかにA氏のために良い値段で良いお客さんに売ろうと努力してきたかを語るB氏。
苦境に陥ったA氏を助けたいという思いを訥々と語る。
その点では私もまったく同じ気持ちなので、思いっきり相槌を打つ。
しかしながら、そろそろ来るなと心の中で身構える。

「それでようやく買い手が決まって買付証明を頂いたのですが、その件でご相談があって今日は伺いました・・・」
来た来たと内心思いながら、想像通りの展開に「やっぱりな」と心で舌打ちする。
B氏が大事そうに取り出した買付証明書。
まっさきに価格に目を走らせる。
う〜む、どうやら価格はまずまずであった。
しかし・・・



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2008年08月04日

泣き別れ

銀行と正常に取引している時は気がつかないが、破綻してみると改めて気がつく事がある。
例えば住宅ローンだ。
借りる時は、保証会社の保証がつく場合が多い。
保証会社と言ってもその銀行のグループ会社で実質は一体である。
昔の長短分離政策の名残で便宜的に生まれた制度が今も残っているのである。

一方、普通の事業資金などは銀行単独の融資である。
両方とも同じ支店の窓口の担当者に申し込みをして借りるので、その違いはあまり気にならない。

ところがこういう人が破綻すると、住宅ローンについては銀行は保証会社から保証債務の履行=代位弁済を受ける。
保証会社が代位弁済してくれて終わりであればいいのだが、今度はその保証会社が保証して支払った分を返せと返済を迫ってくる。
そうなってみると、今まで窓口が一つであったものが、銀行は銀行、保証会社は保証会社と別々の請求を受ける事となる。

それでもまだ同じ銀行グループであるが、この債権がそれぞれ違う投資家またはサービサーが購入したりすると、もう立派な別債権だ。
正常な取引をしている時はどちらも同じ窓口だったのが、別々のサービサーを相手にまったく別々の交渉をするハメとなる。

債務者の方にとっては戸惑う事も多いだろう。
「一緒に話をしたい」と言っても、サービサー側からすればそうもいかない。
そうした泣き別れ現象は結構おこったりするものである。
そうした目にあってしまった債務者の方にとっては実に不便極まりないかもしれない。
10年ほど前には想像もつかなかった事であるが、今はそんな事が起こりうる時代である。



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2008年08月01日

ダックスフント

担当先のAさんは人は悪くないのであるが、なんといってもルーズである。
なかなか約束を守っていただけない。
まあ借金を抱えている人というのは止むにやまれずという事があるのは重々承知している。
やっぱり誰でも「いつ返済していただけるんですか?」「その日で大丈夫なんですか?」と言われるとどうしても相手を満足させたくて、ついつい「来週には」とか「○日頃」とか言うものである。

もちろん根拠はあるかもしれないがその日は別の支払いがあったり、あるいはそもそも入金の可能性自体がわずかしかなかったりしても、そう言ってしまうものなのである。
だがA氏の場合はどうも本当にルーズなようだ。

その時はどうしても大事な手続きがあり、事前に入金の可否を聞いておいた。
「大丈夫だ」、と力強く答えてくれた。
実はサービサーの場合、過度の督促は禁止されている。
きちんと入金約束していただいた場合は、当日まで何度も連絡をしてはいけないのである。
約束していただいた以上信じるしかない。
にも関わらず、やっぱり約束の日に入金はされなかった。

今回ばかりはどうして入金していただけなかったのか聞いてみた。
必要な手続きがとれなくて困るのは我々債権者側ではなくA氏自身なのである。
少々非難めいてはいたが、そういう問い掛けに対する答えは、「愛犬(ダックスフント)が風邪を引いたから」であった。

愛犬家の中には愛犬をまさに自分の子供と思っている人もいるだろう。
だから病気や怪我に際しては心配する気持ちもわからなくもない。
ただ、愛犬家でない場合はそうした思い入れが通じない場合もある。

「ダックスフントねぇ・・・」と力が抜ける。
「せめて事前に連絡いただきたかったですね」と言うのが精一杯。
ルーズというよりもやっぱり諸般の事情がその都度その都度あって、しかも相手に対する配慮というものがないのである。

連絡をしにくいのは確かであろう。
そうした気持ちはわからなくもない。
ただ相手の事も少しは考えないと債権者との意思疎通はうまくいかない。
そうした考え方は「債権者側の理屈」なのだろうかといつも自問自答している。



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