本文の中に登場するのはすべて実在のケースです。
ただし、守秘義務の関係から人物・社名等は匿名としています。
また、金額・業種等本人の特定につながり易いものについては、
趣旨を逸脱しない範囲で変えてあります。
あらかじめご了承下さい。

2009年10月16日

ワンマン体制の長短

前回A社の経理部長が辞めたお話を紹介した。
A社は社長のA氏のワンマン体制である。
役員は一応いるが、B氏が辞めると残りの人はイエスマンだ。
これがいいか悪いかは非常に難しい。

ヤマト運輸がかつて経営危機にあった時、起死回生の施策として宅配事業に乗り出そうとした。
小倉元会長がその方針を伝えたところ、全役員が反対したそうである。
しかし小倉元会長は全役員の反対を振り切って宅配便事業参入を決定、その結果、経営危機を脱したばかりか、日本に宅配便事業を定着させ、同社も大発展を遂げた。

かつて担当していたC社は、不動産仲介ではちょっとした規模のしっかりした企業だった。
バブル期に不動産賃貸事業に参入した。
銀行からの借入で次々と収益物件を購入。
それまで、借り入れの少ない優良企業であったが、仲介業というフロービジネスの危うさを憂慮し、安定した収益を会社のもう一つの軸にしようとしたC社長が独断で決めたのである。
C社には銀行から転籍してきた専務がいて、その他の役員と共に社長のその方針に大反対した。
しかし、C社長は断固とした決断で収益物件の購入を進め、借入れが肥大したところでバブルが崩壊した。

どちらも社長が周りの反対を押し切って独断で事業を進めている。
ヤマトの場合、周りの役員の声に耳を傾けていたら、同社は今頃存在しなかったかもしれない。
小倉元会長の見事な先見の明と決断力。
やっぱりワンマンも必要だとするのは早計だ。

C社長も会社の事を一生懸命考えての決断だった。
賃貸収入だけの、いわばフローだけの事業構成は確かに不安定だ。
ストック収入を取り入れて会社の収益構造を安定させようとしたC社長は、それで私服を肥やそうとしたわけではない。
経営者だから結果責任は当然であるが、だからワンマンはだめだと言うのも早計だ。

結局はケースバイケースなのであるが、A社が果たしてどちらなのか。
残念ながら私には判断が難しい。
「神のみぞ知る」世界なのかもしれない・・・



ご訪問の記録にできればクリックして下さい
人気blogランキングです

posted by Master-hiro at 22:27 | Comment(3) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中小企業であるので、最終的には社長が全責任をとることになる。経理部長はおそらく会社がつぶれても仕事を失うだけだが、社長は全財産を失うことになる。リスクは社長の方がはるかに高い。この場合、社長が方針を決めるのは当然だろう。従業員はその船にのるか、降りるかしかない。船の舵は社長の手にあるのだから。
Posted by 非国民 at 2009年10月18日 20:30
反対を押し切る「断行」と、そもそも反対する人が周囲にいない「裸の王様」は、
全く意味が違うと思います。

結果が全てとは言え、結果だけを見て論じるのであれば、
好景気がちょっと長めに続くだけで、ヨット型経営でも名経営者になれます。

ちゃんとしたプロセスを踏んで決断がくだされたかどうかが大事なんだと思います。

つまり、「その案にはこれだけのリスクがありますよ」と
教えてくれる人が周囲にいるかどうかです。
リターンだけを追い求めると、リスクへの目配りがどうしてもおろそかになりがちですから。
リスクとリターンをちゃんと勘案した上で社長が決断したのなら、
それはそれでいいんじゃないでしょうか。

だから、その会社の社長は経理部長を引きとめるべきだったと思います。

周囲がイエスマンばかりになれば、社長の「閃き」だけに頼った経営になります。
それでうまく行くかどうかは、第3者から見れば博打でしかありません。
経営の場合、ギャンブルと違い、大勝ちはしなくてもいいから
コツコツと勝ち続けなくてはいけません。
「潰れないこと」が第一義ですからね。

周囲がイエスマンばかりで、はたしてそれが出来るかどうか・・・

もちろん、沈みそうな船から逃げるのは個人の自由です。
Posted by 柴田進 at 2009年10月18日 21:08
非国民さん、柴田さん

コメントありがとうございます。
ごもっともですね。
特に柴田さん、詳しい解説をありがとうございます。
A社が沈みゆく船でない事を祈ります・・・
Posted by Master Hiro at 2009年10月20日 23:07
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/130431004
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック