本文の中に登場するのはすべて実在のケースです。
ただし、守秘義務の関係から人物・社名等は匿名としています。
また、金額・業種等本人の特定につながり易いものについては、
趣旨を逸脱しない範囲で変えてあります。
あらかじめご了承下さい。

2009年11月03日

説得すべし


A社長との話し合いはその時最終段階にきていた。
残りは自宅を処分していただくだけとなった。
それが済めば残りの借入金は免除とさせていただく予定。
社長はそれで借入金の大きな割合がなくなり、あとは事業で無理なく返せていける見込みだ。

社長の自宅は夫人が一部持分を持っている。
当然売った場合はその部分は夫人の下へと入る。
夫人は保証人ではないので返済義務は負っていないから当然なのである。
しかし、我々は敢えて夫人の持分も含めて、売却代金から必要経費・住宅ローンの残債を除いた金額を返済してほしいと要求している。
社長は、「夫人が絶対納得しない」とそれには異を唱えている。

夫人は専業主婦。
自宅を建てた資金は銀行ローンとはいえ(今もまだ残っている)、もともとは社長が稼いだお金だ。
夫人が家を建てる時に資金を出したかどうかは定かではないが、夫人単独であれば借りられなかったであろう。
法律上は夫人には責任はないが、ここは夫婦の共同責任と考えてほしいと思っている。

「社長にお任せするので夫人を説得して話をまとめて下さい」とお願いした。
もともと話が壊れれば、最悪の場合、会社も社長も自己破産となる。
夫人の手元にいくばくか残ったとしても、それと天秤にかけられるものなのかどうか。
手元には残らなくても、事業が残り、自己破産もせずに未来に道が開ける。
(事業がそれでもダメになったらその時はその時であるが・・・)
ある程度の試練は潜っていただかないといけない。

借金だけを消してほしいというのはできない相談。
「借金もなくなるが資産もあわせて無くなった」とならなければ、真面目に借金を返している人がバカバカしくなってしまうだろう。
それに自宅は結構な豪邸だし・・・

奥様にはお会いした事がないのでどういう方かはわからない。
ただすべての事情をきちんとお話すれば、分かっていただける気がする。
もちろんそうするのはやぶさかではないのであるが、まずは社長さんからきちんとお話していただくのが筋であろう。
「また商売で頑張って豪邸を取り戻す」
そう考えていただきたいのである。

法律では絶対に回収できない部分である。
社長や奥様が未来に目を向けて納得していただけたなら、それは我々にとっていろいろな意味で喜ばしい事である。



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posted by Master-hiro at 22:29 | Comment(6) | TrackBack(0) | 交渉記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中小零細は株式会社でも、連帯保証をさせることで無限責任、無知に漬け込み個人責任を無視して一族郎党からも取り立てると。素晴らしい。まるでシャイロックですな。
金貸しって良い商売ですね。結局、法律を知らないものが馬鹿をみる。カバチタレという漫画のいう通りですね。
こんな目に遭った親を見て育った子供は絶対に事業などやらないでしょうね。
事業資金など借りても、躓けば結局、馬鹿をみるのが零細事業主。こういう人を間近に見る人が増えれば、融資を受けて事業する者などいなくなりますね。
その時になって金貸しも気付くのでしょうね。焼畑農業のような愚かなビジネスモデルだったことを。
やりすぎは結局、自分の首を絞めていることに気付かないのでしょうね。商工ローンの人達のように。
慧眼をお持ちのHiro様においては、苦渋の決断でしょうね。
益々のご活躍を。
Posted by at 2009年11月04日 04:17
奥さんが鍵を握っているようだね。奥さんはいつも旦那のそばにいて旦那の能力はご存知だろう。旦那が会社を立ち直らせると確信すれば自宅を売却、そうでなければ旦那と会社を自己破産だろうね。ついでに旦那と離婚なんてこともありうる。
まあ、女性なので住む場所には男以上に愛着がある。なかなか難しいのでは。法律的には奥さんは借金と無関係だから、どうにもならんだろう。しかも下手に奥さんとあって借金の肩代わりなんて要求したら、サービサーの業務に支障がでるよね。返済義務のない人に返済を要求したなんて法務省に駆け込まれたらちょっと大変なニュースになりそう。
Posted by 非国民 at 2009年11月04日 07:22
奥さんの所有している割合って、そんなに大きいのですか?

今その分を返済しなかったら、事業による返済の目途も立たないぐらい巨額なのでしょうか?

いったいどんな豪邸なんだろう・・・

まあ、こんな時のために名義替えしていた可能性もありますけどね。

サービサーとしては、事業で儲けようが資産を売却しようが
返すもんを返してもらえればそれでいいのでしょうけど、
一度会社を傾けた"実績"のある経営者なのですから
「事業による返済」にあまり期待するわけにもいきません。


サービサーの手順としては、事業再生計画の評価と資産売却価額の評価と、
どちらから入るのでしょう?
Posted by 柴田進 at 2009年11月05日 00:45
さすがに、異なる名義のお金まで暗黙に要求するのは、感情的にはいかがなものと思います。直接要求すると法律に引っかかりそうですし、間接的に要求してもトラブルの種にしかならいでしょう。
とはいうものの、住宅を残したままの債務の放棄は甘すぎてそれ以上に許せませんので、ここは破産していただくのも仕方無いのではないかと。そもそも、社長の住宅持分を売却金が債務整理に応じられる金額でないのであれば、致し方ありません。
Posted by at 2009年11月05日 18:33
非国民さん
実に的確なるコメントありがとうございます。
柴田さん
するどい視点ですね。
この場合は事業による返済は考えていないので、資産価値で考えています。

あまり詳しくは書けないのですが、億を越える自宅ですので、実際的に専業主婦の奥様が自己資金を出したかどうかは怪しいところだと思います。

それに本当に夫人に話が伝わっていて、それで反対しているのかも定かではありません。

一方で免除する債務は資産価値を遥かに越えており、自己破産すれば自らが代表者となっている法人取引にも影響する話です。

奥様の持分までは要求しないとなれば、その分は免除できないので、「その部分だけこのまま返済し続けてくれ」とするしかないお話です。
シャイロックも悩ましいです。

Posted by Master Hiro at 2009年11月05日 23:07
本文に関係のないコメント2件削除いたしました
Posted by Master Hiro at 2009年11月05日 23:18
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