本文の中に登場するのはすべて実在のケースです。
ただし、守秘義務の関係から人物・社名等は匿名としています。
また、金額・業種等本人の特定につながり易いものについては、
趣旨を逸脱しない範囲で変えてあります。
あらかじめご了承下さい。

2009年11月11日

万物は流転する

A社は破産手続きに入っている。
もともとは製造業を営んでいた企業ではあるが、景気低迷から売り上げ不振となり、またそれまでの設備投資負担が重なり、不渡りを出した挙句倒産したのである。
社長は弁護士に破産手続きを依頼し、自らも同時に破産申請した。
個人で保証人となっていたためである。
そうして破産管財人弁護士が破産手続きに着手した。

資産としては工場財団があった。
工場の土地・建物と中の機械設備一式が工場財団として登記され、担保提供されていたのである。
だが、この環境下で右から左と処分できるものでもなく、どうなるものかと危惧していた。
一体での処分が難航し、まずは中の機械設備だけを先に処分した。
専門の業者が引き取っていった。

我々は専門の機械の価値などよくわからない。
処分する独自のルートがあるわけでもない。
破産管財人弁護士も同様。
まあ言い値で売る事になったが、それでも売れないよりはいい。
買って行った業者もそれを転売するのであろう。
こういう環境下ゆえ、中古でもいいから機械を安く仕入れたいというニーズは強いのではないかと想像される。

そしてこのたび工場も売却が決まった。
取り壊して売るとなると土壌汚染の問題もあり、大して値段がつかないと覚悟していたら、そのまま買うという企業が現れた。
そのままだとそこそこの値段で売れるのでこちらは大歓迎。
一方買う方も安く広い工場が手に入ったと喜んでいるようである。

こうして経済は流転して動いていく。
安く設備投資ができればそれだけ企業の不況抵抗力が強くなる。
消えゆく企業と発展してゆく企業、同じ資産を巡り両者は対照的である。
これも世の常ではあるが、はたしてこれらの資産はこのあとどんな運命を辿るのだろうか。
そんな事をちょっと考えた売買であった・・・



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posted by Master-hiro at 23:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | 交渉記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
売られていった機械はたぶん日本だけでなく、世界中に行くんだろうね。中国、ベトナム、タイ。どこでも最新式でなくてもいいから、ちゃんと動作する機械が欲しいところは多いだろう。最新式のコンピュータ制御だと修理が大変だったりして、かえって古い方がメンテナンスが楽だったりするので発展途上国向きですね。
土壌汚染はよく聞きます。某大企業では土壌汚染で売るに売れず、とりあえず形ばかりの操業で売らずに抱え込んでいるなんて噂を耳にします。
昔は工場の汚染がそんなに深刻なんて考えてなかったです。しかも、古くなると工場の設備の亀裂から汚染物質が漏れたりします。さらに「これは安全」なんて物質がやがて「実は危険」となったりしました。
Posted by 非国民 at 2009年11月11日 23:39
>買って行った業者もそれを転売するのであろう。

たまに中古業者のリストに部品取りに使えそうな装置があると嬉しいですね。ネジやカムなど機械部品は作れますけど、生産中止になったLSIや基板など電子部品は作れませんから。
中古装置がそのまま使える事例は体験したことないです。汎用機なら使えるんですけど、一品モノのカスタム機は使えないですね。潰れる会社ほど独自の製造装置にこだわる気がします。カバーを趣味の悪い色に塗って統一したり、機能以外の所に金かけてますね。(笑)
Posted by 野田一丁目。 at 2009年11月12日 19:43
コメントありがとうございます。

土地の売買は、確かに昔はけっこうアバウトでしたね。
今は土壌汚染はうるさくなりましたね。
いいことかもしれません。

機械については流通の世界はよくわかりませんが、それぞれのお話は興味深いです。
Posted by Master Hiro at 2009年11月13日 21:59
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